お知らせ
大田臨海部まちづくり協議会 座談会②
続いて、これからの臨海部に必要なものについてお話が広がりました。
磯村会長:
これからの臨海部を考えるにあたっては、羽田まで含めて考えていかなくてはならないと思います。来る人も、働く人も含めて羽田とのネットワークの強いエリアですから。あと、運河をもっと楽しいものにしたいですね。トライアスロンができて、浄水場には蛍もいる。こんなに素晴らしい水辺はない。
鈴木氏:
コロナ前は、毎年子どもを連れてホタルを見に行ってました。運河の魅力開発は、民間団体だけでなく、色々な調整が必要です。城南地区水辺活性化推進議員連盟というのがあるのですが、そういう行政との交渉力がある色々な団体とも連携を取りながら、運河の魅力開発を継続してやっています。実は、JRが舟運を今後の営業の一つの目標にしている。そういう企業との関わりを強めたり、地元の味方になってくれる議員の存在など、活用していくべきです。
当初は、JR貨物ターミナルに空港アクセス線の駅を、という夢があり、当時の城南島連合会の杉崎会長が大いに力になってくれました。大田区工業連合会の要望として商工会議所にあげてもらって、大田区につないでもらった、という経緯もありました。そういうものに、もっと地元議員が力を入れてもらえると力強い。
事務局:
私は関わらせていただいて、5年になりますが、まちづくりを進めていくことが、行政の方にご協力いただかないと動かないものだな、というのは実感しています。鈴木先生、伊藤先生が関わってくださって、行政とつないでくださるというのは大変ありがたいと思っています。
磯村会長:
そうなんですよ。
鈴木氏:
一般企業は、やっぱり先が見えないとなかなか動いてもらえないところもありますからね。そういう意味で、協議会活動に区の予算付けがあるというのはありがたいことですね。
伊藤氏:
ただ、先ほどのお話にもあったように、平和島までは行政の整備が入っていることが多くて、その先の臨海部になると風景が全然違う、というのは、所管の違いだと思う。平和島までは大田区が色々やろうとしていて、その先は大田区には他人事みたいになっている。どちらかというと東京都の持ち物だと思っているから、計画の中にも入っていない状態だった。鈴木先生が入ってくれたおかげで、大田区・東京都の認識が少しずつ変わってきているイメージはある。まだまだ運河などになってくると、東京都の中でも港湾と河川で管轄が違ったり、役所の線引きのせいで活動が影響を受けているところはある。全体を俯瞰した視点で、ビジョンとしてしっかりと落とし込めて、それぞれの部署が許認可をしてくれれば、かなり進むのではないかと思う。
磯村会長:
ついでに言うと、蒲田より大森駅のほうが羽田に近いことも、余り知られてないですよね。そういうような事も、知ってもらいたい。中央防波堤を大田区の一部にしてもらって、大田区の役所の人達も、ようやくこの周りを自分達のものというふうに意識してくれたくらい。それまでは本当に東京都の話だと思ってたと思う。
鈴木氏:
伊藤先生が言っていたのが本当の所で、大田区では、臨海部というのは東京都の仕事でしょう、というような考えが強かったと思う。例えば江東区というのは、まさに都と区が一体となって江東区の水辺にどんどん色々なものを引っ張ってきて開発している。だから、それはもう区の考え方次第だと思う。最近では、水辺のにぎわいづくりに予算が付くようになったと感じる。それは水辺活性化推進議員連盟みたいな、うるさい事言う人間がいないとだめだという事。
伊藤氏:
そうですよね。うるさい事というのは、つまり関心があるという事ですから。
鈴木氏:
そういう事です。きれい事かもしれないが、我々が働く原点というのは、有権者がいるいないではない。未来に向かって、そのまちの潜在的な力をいかに発揮できるか、民間の方々と我々議員と行政が、一緒になって知恵を出し合ってプランを作っていく、という事なのではないか。一時、臨海部に住宅を作るという案もありましたが、そういった事を考えていくのも、我々の仕事。
伊藤氏:
何を目指すかではないか。住宅地を増やす事を目指す方法も勿論あるけれど、例えばみなとみらいのように、観光に振った方向性もある。臨海部の特徴をもっと生かせるような街の姿、まさにビジョンのようなものを、もっと具体的な所まで追求していきたい。その中には当然自転車の道も入っているわけだし、道が綺麗になって、人が通れて通勤できるというのも含めて、協議会で具体的な話をもっと出したい。絵を描くというか。それに向かって必要なアクションプランを作っていく。話し合いだけで終わりたくない。形にまで繋げて、結果を出したい。それには、皆が、これはいいと納得できる絵があると分かりやすい気がする。役所の描いたビジョンは言葉でいいものを作りますと書いてあるけれど、なかなか入ってこない。
鈴木氏:
確かに、何を目指そうとしているのかが分かりづらい。
伊藤氏:
一般論で書いてしまっているので、5年経っても全然実現できていない。川崎や横浜でも、同じようなまちづくりビジョンがあって、取り寄せて勉強会をやったことがある。どこでも、絵に描いた餅になってしまう面はあるが、横浜は3割程度は実現してきている。横浜の場合は、行政の力だけではなくて、土地の持っている力があるから民間がどんどん入ってきているのだけれど。最近ではロープウェイができたりして、素晴らしい前向きな姿勢がある。多分、同じ業者がここでロープウェイをやらせてくれと言っても、大田区では許可しないと思う。臨海部こそ、ああいうものは便利だと思って、ずっと言ってきたのだけれど、海の中に鉄塔を建てるような事は全然やらせてくれないと思う。それはビジョンがないから。今の法律に合わせて、これはだめですとか、そんな話になってしまう。そんな事の手前に、大きなビジョンがあって、街を大きく、良くしていく事に関心を持てれば、進められるはず。横浜のロープウェイを見て、それを強く感じた。
事務局:
大きなビジョンを行政にも受け入れてもらうという事が必要ですね。そして区の計画にしっかりと組み込んでもらうという所まで行きたいですね。
磯村会長:
あと、もう1つ、羽田と臨海部を一体的に、どう考えていくか、ということも、しっかりと組み込んでいってもらいたい。
伊藤氏:
やはりモノレールがあるというのが大きい。大森からも、京浜島を経由する道路があるからすごく近くなっている。本当に距離的、物理的にかなり近い。あとはそれをどう生かすかという所だろう。
鈴木氏:
羽田イノベーションシティには医療研究施設が入ると聞いているが。ワクチンの製造とかもできるのか。
伊藤氏:
薬ではなく、医療ツーリズムを盛り上げようとしているようです。いずれにしても、広報が不十分であまり知られていないですね。
事務局:
臨海部と羽田との連携で考えた時に、臨海部の方向性というのは、やはり観光、人に立ち寄ってもらうエリアとして考えて行くのが良いのでしょうか。
磯村会長:
当然の事ながら、海外からのお客さんに大勢来てもらえるという1つのエリアになると思う。
伊藤氏:
それにしてもやはり、工場に実際来てもらうわけにもいかないので、製品を作る技術が一般の人に分かるようなパビリオンというか、展示場みたいなものがあるといいかもしれない。工場に行かなくても、展示場で見てもらって、大田区には技術があるな、これも大田区で作っていたのだなというのが分かってもらえればそれで良いわけだから。それは区がやるのに十分な理由になると思う。
鈴木氏:
羽田イノベーションシティは、そういう発想ですよね。
伊藤氏:
それがあまり進んでいないから、臨海部でぜひ進めたい。人が働いているところに観光客を入れるわけではなく、人に来てもらえるエリアをしっかり作る。そうすると、工場もお客さんも、満足できる。
鈴木氏:
いずれにしても、今の状況を変えていくには、共有できるビジョンがないと。ビジョンを持って、大田区が本気になってくれないと。
磯村会長: そうです。鈴木先生、伊藤先生、がんばってください
まちづくりは、一部の協議会だけでは進まない。より多くの人が納得できるビジョンを持つこと、協議会のビジョンを共有することで思いを伝えること。これまで多くの人のリーダーとして活動されてきた3人の方の思いを伺いました。
続いては、より具体的な協議会活動の話題について、さらに楽しいお話が続きました。
座談会の様子は、鈴木あきまさ都議会議員のブログでも紹介されています。