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大田臨海部まちづくり協議会 座談会③

続いて、臨海部まちづくり協議会の活動について、協議会立ち上げ当初からご尽力いただいている、磯村会長、都議会議員鈴木あきまささん、前大田区議会議員いとう和弘さんに、具体的なアイディアなどを伺いました。

伊藤氏:
一応、今まで毎年やっていたイベントでは、将来この地域が産業やにぎわいの拠点になる、という想いを持ちながら、ある意味実験的にやっているのだという事は常に意識してやってきたつもり。大田区や東京都の役所の人に必ず見に来てもらって、我々協議会が目指しているのはこういう姿なのだという所は常に見てもらっていた。ただ、一過性で終わってしまっていたところはあると思う。

イベント前日からの準備

鈴木氏:
イベントだけ初めて見た人にとっては、何故そんな所に大田区の予算を入れていて、何の意味があるのかと批判する人もいる。

伊藤氏:
自分の楽しみもあるが、しかし自分で楽しまなければ、お客さんも楽しんでもらえないと思っている。

鈴木氏:
 しかし、東京団地冷蔵の壁面に映像を映したイベントは、感動しました。あの壁面も、大田区から壁面を白くして、窓もあまり作らないでください、という要望を出してもらって、企業の方に協力してもらった。おかげであの映像を映すことができた。それなりのお金もかかっているし、素晴らしかった。

磯村会長:
 本当に。ふるはまの花火と同じくらい感動した。素晴らしかった。

鈴木氏:
 今年オリンピックをやっていたら、大田区の青少年交流センターにブラジルチーム来るはずだった。地元の子どもたちとふれあう機会があっただろうし、そういうものがあれば、我々のやっている協議会にももう少し加速が付けられたと思う。本当に残念。

ふるさとの浜辺公園の風景

磯村会長:
 でもコロナがきっかけで、ふるはまを始め、色々な所の公園が満員になってる。屋外に人が集まってきている。

伊藤氏:
 公園の話で言うと、今、横浜で市を上げてガーデンネックレスを大々的にやっている。公園をつなげて、街全体が花であふれていて、すばらしかった。だったら、うちこそまさに、花市場があるじゃないかと思いながらずっと見て歩いていた。臨海部でも、例えばいつものイベント会場に花壇みたいなものを常設して、水辺で花が楽しめるエリアになってきたら、通勤している人も心が少し和む。そういうようなイベントもやってみたい。今年秋に、大森駅前でイベントをやるので、デモンストレーションをやってみたいと思っている。それを見た人に、大森には花き市場というのがあるんだよという話も伝えたい。

事務局:
 そうですね、伊藤先生は他の協議会の活動もされていて、大森の駅前の方も盛り上げていらっしゃいますね。駅前広場がすごくきれいになりました。臨海部と大森と、2つの地域を比べてみてどうですか。

伊藤氏:
 それぞれに特徴があって、向こうは住宅だったり駅だったり、こちらは働いている人達が居たり、と。その違う特徴をもつまちが、連携ができたら両方が盛り上がる相乗効果があると思ってやっている。
まちづくりというのは、単発では難しいのだろうなと思う。まちを構成する要素で、アクセスする駅、仕事場、住む所と、飲む所、食べる所、これが全て必要。これが1つのエリアでできないのであれば、いくつかのエリアでこなしていければいい。大森と臨海部のエリアは、そのくらいの丁度良いエリア。そういう事だと思う。本当は平和島でももっとやりたかった。

磯村会長:
 平和島と流通センターをもっとつなげていければいいのだけれど、駅前広場がなくて、使い方が難しいという残念なところがある。

鈴木氏:
 私は今後やりたい事が1つあって、市場という魅力と、平和島の競艇場というエリアに、流通センターの要素を取り入れていきたいと思っている。流通センターはどちらかというとあまり区の絡みの少ないエリア。これをもっと引っ張り込んでいきた。流通センターでアニメのイベントやバーゲンもやっている。
それらを活用して、大田市場、東京流通センター、平和島競艇のイベントを結び賑わいを繋ぐことが大事で、大田臨海部の賑わいを創る拠点が大田市場花き部の前面にある都港湾局用地と運河を活用したい。この拠点に「海の駅」と言った場外市場機能や賑わい広場と駐車場を整備する。港湾局用地を大田区が購入するのも1つの考え。

大田市場直送の花が四季を彩る流通センター駅前の花壇

磯村会長:
 そうですよ。流通センターは集客力がありますからね。

鈴木氏:
 実は比較的知名度のあるイベントとしては、全国骨董祭りというのを年4回やっている。これはどちらかというとバイヤーとか専門家とか骨董に興味ある人の入り口みたいなもの。これを、都や区で協賛するような形にして、もっと幅広い人が楽しめる、エリアのお祭りみたいなものに変えていってはどうかと思っている。

伊藤氏:
 フリーマーケットみたいで、すごく面白いイベントですね。

磯村会長:
 三軒茶屋でも市をやっていますね。

鈴木氏:
 これから、流通センターをもう少し巻き込んでいきたいですね。

伊藤氏:
 だから、ぜひ今年もミズベリングの水辺で乾杯を、流通センター側の公園でやりたいと思ってる。流通センターをもっともっと使うべき。

鈴木氏:
 平和島の競艇場のイメージも随分かわってきている。エンタメ性が強くなって、随分よくなった。

伊藤氏:
 協議会が毎年イベントをやっている海上公園予定地で、アニメのイベントをやりたい、というオファーも来ていた。周りに住宅がなくて、音を出しても平気なのがメリット。大田スタジアムも検討したけれど、やはり花き棟の前公園予定地が一番イベントにいいということでした。

磯村会長:
 臨海部には本当に良い場所がありますからね。

鈴木氏:
 音を出しても迷惑がかからないからイベントに適している。羽田から1本だし、流通センターの駅もあるし。伊藤先生にもそういうようなオファーが色々あるという事は、何となくコロナで暗くなっているが、少し希望が見えてくるのでは。イベントというのは大事だと思う。

事務局:
 イベントと言えば、やはり東京冷蔵の壁面にプロジェクターで映像を映せたあのイベントは、すごく大きかったと思う。あのような大きなイベントは、今年も難しいかもしれないが、もう少し日常的な楽しみを作っていけるといいですね。

磯村会長:
 あの場所は本当に利用価値がある。市場と、それぞれの場所で連携することもできる。市場でフラワーアレンジメントをしたり、工場跡地でアートやオブジェを作ったり。島部と連携して一帯で使うと、色々なことが考えられる。

鈴木氏:
 このエリアでイベントするならあの場所、といえるように、特設ステージみたいにできるといいですね。

伊藤氏:
 そうすると、こちらで年間の計画を立てて、色々なイベントができる。是非それを目指したい。

鈴木氏:
 これは正直言って大田区にも積極的に絡んでもらいたいですね。

伊藤氏:
 もちろんそれはやってほしい。さらに言えば、そこで商売やらせてほしいというような人が出てこなくてはだめ。そういうところを目指したい。会長がおっしゃったオブジェもあると、絶対に楽しい。

鈴木氏:
 あと、一昨年、臨海部ツアーとしてアートファクトリー城南島や北嶋絞製作所などを見学しました。ああいうのを、今年もやりたいですね。

京浜島にある北島絞製作所見学の様子

磯村会長:
 そうですね。普段なさっている当たり前のことが、他の業界から見ると、とても興味深いことだったりしますね。

鈴木氏:
 協議会も、オンラインでなく集まってできるといいですね。

磯村会長:
 花き市場は、オンラインの時代とはいえ、やはり最終的には目で見て買うので、人の行き来はありますね。日本列島は縦長なので、その土地の良い時期は精々1か月。例えば、今、芍薬は長野産が多いのですが、もう少し経つと、もっと北の方が時期を迎えます。だから、農家と契約しているとずっと同じ場所で買わないといけない。だから、その時期に一番よいものは、やはり市場の競りで立ち会わないと手に入らない。

日本の花きのことならこの方に。磯村会長

事務局:
 そういったお話も、外部の我々にはとても勉強になります。

磯村会長:
 あと、本当に、市場まで含めて4つの島で働く人達の求人にも役立つような、景観だとか、楽しさだとかを作っていかないと。今、具体的には自転車ルートや交通問題等をやっているが、これだけではやはりだめ。全体のイメージをどうするか。イメージとしては、臨海部は明るい。大きなトラックがあるから、何か恐ろしい感じがするかもしれませんが、空が本当にパァーっと開けた明るい場所。それを3島の企業の求人にも役に立てるようにしたいですね。

伊藤氏:
 初期からそれは言われていましたね。人材を集めたいと。優秀な人材が来てくれないかと。

鈴木氏:
 それはやはり、イメージですね。便利でイメージが良いと。イメージアップのためにもイベントを上手く活用したい。

磯村会長:
 あと、一帯の景観も大事です。

伊藤氏:
 一度に全部でなくてよいから、少し借りて、良いものを作れば、段々と広がっていく。本当にやり始めが必要。大森北1丁目町会の防災倉庫も、壁面アートをやってみた。1か所あるだけで、周りのイメージが全然違う。

鈴木氏:
 城南島や京浜島の方々はあまり関係ないと思うかもしれないが、磯村会長が言うように、イメージは求人に影響します。やはりそれを作っていく為に、あそこがいかに必要かという事を、もっと我々も一生懸命言わなければならない。

伊藤氏:
 それにはやはりビジョンを目に見えるようにするものが必要。あそこはうちにも影響があるなというのが見えるようなものが欲しい。それに常設で、発信できるものがあるといい。毎年、海上公園予定地でイベントをやっているが、無駄に遊休地を置いておくなら、一部で良いから貸してほしい。

鈴木氏:
 3分の1でもいいから借りられるといい。特設広場は良いですね。やりましょう。「空広場」とか名付けて。

伊藤氏:
 調べて、実現できるように、ぜひやっていきましょう。

事務局:
そろそろお時間になってきました。磯村会長、鈴木先生、伊藤先生には協議会の活動に深くご尽力いただいており、今後もぜひ、よろしくお願いいたします。


座談会の間、今回掲載させていただいた内容以外にも、多くの活動アイディア、やりたいことを楽しそうに語っていただきました。また、アイディアを実現するまでも含めての発想力・行動力は流石で、これまで協議会活動で様々なことを実現してくださいました。
実は臨海部は住んでいる方がいないエリアなのです。つまり先生方にとって「票田」ではないのです。「我々の仕事は票があるからやるんじゃなくて、ロマンがあるからやるんだよ」と、冗談めかしておっしゃっていましたが、お話を伺っていると、本当にそう思ってくださっていることが分かります。今回はありがとうございました。


 

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