お知らせ

インタビュー:大田臨海部まちづくり協議会会長 磯村信夫様

大田臨海部まちづくり協議会会長として、会の活動をリードしてくださっている磯村会長にお話を伺いました。

-率直に伺いますが、大田臨海部まちづくり協議会の活動を始められたきっかけは何でしょうか。

大田臨海部まちづくり協議会が“まち”としているエリアは、人工島で4つのエリアからなっています。もの作りのエリアや卸売市場のエリアなどがあり、ユニークな公園が幾つもあります。

羽田飛行場と海と運河に囲まれたこの“まち”は、産業中心の立地なため、沢山の人たちが通勤していますが人は住んでいません。荷物の輸送は陸海空とも大変便利なのですが通勤には不便で、特に自転車や徒歩では危険を感じる場所があったり、標識が未整備だったりして、行きたい場所にいけなかったりします。

人が住んでいませんので、ごみが散らかったままになっていたりして、緑が豊かなのに殺伐としたものを感じるときがあります。

ですが、4つの島にある会社を職場にしている人たちに、自宅のある“まち”と同じくらい、この“まち”にも愛着を持ってもらいたいと思っています。一日の最低8時間、通勤時間を入れたら9時間以上、つまり一週間の内少なくとも45時間はこの“まち”で過ごしているのですから。働く人たちが、自分の仕事生活をするこの“まち”を、「居てよかった」と思える“まち”にしたい。さらに、スポーツやレクリエーションで来る人たち皆が「良いところだなあ」と思ってもらえるまちつくりをしたい。そんな想いから活動を始めました。

ー大田花きのある大田市場周辺のエリアだけでなく、城南島、京浜島、昭和島を含む臨海部全体について広い視野をお持ちですが、臨海部の魅力はどのようなところだと思いますか。

陸海空、鳥や魚、飛行機、工場、市場、美術館などが融合している、場の魅力でしょうか。オフィス街・住宅地と自然が調和している場所はよくありますが、工場や卸売市場などの喧騒がつきものの場と自然が調和している場所は、このまちを除いて殆ど無い、レアなまちです。まだまだ整備途上ですので、路上駐車の問題など改善したい点が多くありますが、探検しに一度お越しいただくと、とりこになると思います。

自然と喧騒が交じり合ったまち、スポーツと芸術のまちでもある大田臨海部のまちですから。

ー大田区民でもいらっしゃる磯村会長から見て、臨海部のまちの将来像について、どのようなイメージをお持ちでしょうか。変わってほしいところ、変わってほしくないところを教えてください。

大田区民は、「大森ふるさとの浜辺公園」は大田区だと思っています。しかし流通センターから海側については、東京都だとは思っていても大田区だとは認識していないのではないでしょうか。

歩道や自転車路を整備し、区民の方がウォーキング・ジョギング、サイクリングを楽しみ、安全に豊かに過ごしてもらいたい。また、ここにしかないビューを満喫出来る個性的な公園に習慣的に来てもらえるようにしたいと思います。

例えば、公園めぐりのウォーキングコース・サイクリングコースをつくり、四つの島それぞれで特徴のあるイベントや島巡りを行ってはどうでしょうか。このためには路上駐車を無くし、景観を整えることも必要です。

また、羽田飛行場が大田区のものであることは、大田区民の誇りです。「大田区、羽田から世界に通ず」です。この羽田空港にほど近い臨海部エリアを、安全便利な交通手段を揃え、産業と自然と人との調和の場にすることにより、大田区だと思ってもらえるように、また働きにくる人たちにも、より通勤の利便性を整え、いいところだと思ってもらえるように変わっていってもらいたいです。

ーこれまで、大田臨海部まちづくり協議会では、臨海部の魅力発信のためのイベントや、交通環境の改善に向けたアンケート調査および現地調査を踏まえた自転車通行環境改善のための提案書の作成などを行ってきました。今後のまちづくり協議会活動のメインとなってくるものは何でしょうか。

1つは、交通問題の解決です。

ウォーキング、ジョギング、サイクリングを安全に楽しめるインフラづくり、通勤バス網やMaaSを整備することが必要です。物流センター・コンテナ埠頭が近いので、コンテナ整備も必要でしょう。また、大きい車両が路駐していると歩道からの視界が狭まります。待機車両用の廉価な駐車場を都ないし大田区は整備し、待機車両を無くす運動を行っていきたいと思います。

2つ目は、運河側の土地を利用した文化施設の実現に向けた活動です。

大田市場花き部前には、運河に面した東京都の公園用地があります。その運河を使ったカヌー、シーカヤック、ボートなどのマリンスポーツが出来たらと構想しています。また、若い人が来てもらえるようなアミューズメントとして、大田区特有の黒温泉銭湯や、運河をはさんで大音響で歌える野外ステージがあったら面白いですね。さらに、アミューズメントに加えて、世界に誇る町工場があるので、町工場と芸術品・作品つくりができる場を提供して、新しい文化を作っていきたいです。そしてもちろん、食文化・花飾り(華道・フラワーアレンジ等)の発信として、お料理教室やフラワーアレンジ教室のある文化施設があれば魅力的です。また、大田市場の場外市場として、魚・青果・花の小売をする問屋街と、そこで買った物を調理して食べさせてくれる施設があっても良いですね。

TOP OF PAGE